シンママ選んだ理由 3

いつものように2階の寝室で娘を寝かせていた

旦那はいつものように酒を飲み、テレビを見ながら

気に入らないことをそのまま口にだしていた

 

娘がちょうど寝たときだった

旦那が勢いよく階段を上がってくる音が聞こえた

何かされると思い私は寝たふりをした

寝室の扉が勢いよく開いた

目を閉じていたが、旦那が扉の所に立ち、こちらをうかがっているような感じがした

しばらくその場に立っていた旦那はベッドに近寄ってきた

すると

シャリーンと金属が落ちたような音…

旦那は何かをベッドの下にすべりこませたのだ

そして旦那はそのままベッドに横になった

私はその音の正体が包丁だとすぐに感付いた

私は恐怖で逃げ出したかったが、今動いては何かされると思い、そのまま寝たふりをしていた

じっと寝返りもせずただただ眠りにつくのを待った

しばらくして旦那は眠りについたようだが、真っ暗な中本当に寝たのか確信が持てるまで待った

そしていびきが聞こえようやく寝たことを確信したわたしは

携帯を開いた

もう2時間経過していた

そしてベッドの下を携帯の明かりで照らした

そこにあったのはやはり包丁だった

それも旦那の仕事用に買って台所の棚にしまっていた出刃包丁だった

あえてこれを選んだということは…

そう考えるとこのままだと本当に最悪な結果になるかもしれない

そう思った私は布団の中で実家の母にメールした

深夜にも関わらず母は連絡に気づき返信してくれた

「今は刺激しないで、朝まで寝ていなさい。今動くと危ないから。大丈夫だから」と

恐怖の中夜が明けるのをじっと待った

 

そして夜が明け、数日分の着替えと通帳と判子を段ボールに入れ

娘を保育園に預けた。保育園には旦那が来ても娘を引き渡さないように伝えた

私は出勤しすぐに上司に昨日起きたことをありのまま報告した

上司はすぐに部長に報告してくれ

「そのまま実家に帰りなさい。部長から許可が出たから。年休や有給・育児休暇を全部使って3月までどうにか休みにしてもらえるよう手続きしてもらっている。準備でき次第帰りなさい」と話し、いろいろと手配してくれた

そして書類にサインをし、職場に挨拶を済ませて、娘を迎えに行った

段ボールの荷物は宅急便で実家に送った

車をアパートの駐車場に置き、雨の降る中バス停まで娘と歩いた

娘はその道中、お出かけできると嬉しがっていた

そして新幹線で実家へと向かった…

 

実家についたときにはへとへとだった

少しは気が休まるだろうと思っていたが

いつ旦那が実家に押しかけてくるかわからない

その恐怖で気が休まることはなかった

 

旦那からメールがいくつか届いたが

「どこにいるの?もうお金がない」とか

「食べるものもなくなった」とかそんな内容のメールだった

旦那は手取りの給料だったため

クビになった月分の給料が12月頃郵送で届いていた

20万ほどあっただろう

だから数か月は生きていけることを知っていたし

家賃や光熱費は私の口座から引き落としていたため不自由はないはずだった

それなのにもうお金がないなんて

本当に馬鹿としか言いようがない

娘のことを心配するメールは一切なく、最悪な旦那だと改めて思った

 

私は2月でアパートを引き払うこと、2月20日までに出ていってほしいことだけを伝えた

2月24日両親と恐る恐るアパートへ向かったが旦那はもういなかった

そして荷物をまとめ、引っ越し業者に荷物を託した

旦那が持っていかなかった電化製品や家具はほとんど売り

引っ越し費用の足しにした

 

娘はこのメゾネットのアパートが大好きだったが

このアパートにもバイバイしなきゃいけないという事実を伝えた

理解してくれたかは分からなかったが、泣いたりはしなかった

 

そしてアパートを引き渡し私と娘は両親とともに実家へと帰った